都市公共交通条例と共産党

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第214回)

 『人民日報』2024年10月24日付3面に「公布《都市公共交通条例》(公布《城市公共交通条例》)」という記事が掲載されました。これによれば、10月23日に李強・国務院総理が署名をし「都市公共交通条例(城市公共交通条例)」が公布されたとのことです(施行は2024年12月1日から)。この条例は、公共交通の高品質な発展、公共交通サービスの水準の向上、公共交通の安全の保障などを目的に制定されたとされています。
 この条例の具体的な内容としては、公共交通の責任主体を明らかにし、公共交通業務に関しても中国共産党の指導を堅持することにあると『人民日報』の記事は述べています。公共交通と言えば、路線バスなどが代表例として挙げられます。バス業務に共産党の指導が必要なのかは疑問符が着く点です。しかし、この表現も中国の儀礼的なもので、公共交通の取り扱いが大きく変わることはないでしょう。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。