習近平「研究強化」発言の真意

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第174回)

 『人民日報』2024年6月4日付1面によれば、習近平・総書記は上海を訪れた際、以下のように述べたそうです。「科学技術イノベーションをけん引役とし、核心技術の研究を強化し、伝統産業の変革と高度化を促進し、世界クラスのハイエンド産業クラスターの育成を加速し、現代産業システムの構築を加速し、国際経済センターの地位と世界経済ガバナンスの影響力を継続的に強化するものとする」
 これは逆に言えば、現在、頑張らないと、上海の国際経済センターの地位や世界経済への影響力を失う、と中国経済の不調を告白している発言にも見えます。これからも、中国は世界経済への影響力を保つため、さまざまな改革を行うでしょう。その際には、じっくりと狙いなどを見極める必要があると言えます。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。