経済効果は10年で「23兆円」

 九州経済調査協会(福岡市)は12月24日、九州・沖縄・山口への半導体関連の設備投資による経済波及効果が、2021〜30年の10年間で合計23兆300億円に上るとの推計を発表した。地場企業の投資動向などを精微に調査し、前回推計(23年末時点)から2兆9000億円上方修正した。域内の総投資額は6兆1820億円、生産額は7兆8850億円を見込む。
 県別では、熊本が13兆3890億円と全体の約6割を占めた。台湾積体電路製造(TSMC)に加え、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングなどの大型投資が集中しているのが要因。次いで、長崎(ソニーグループ・京セラなど)が2兆5550億円、福岡(ローム・三菱ケミカルなど)が2兆1050億円で続いた。経済効果の内訳は、設備投資関連が8兆4090億円、それに伴う生産活動関連が14兆6210億円を見込む。産業別では、半導体サプライチェーン(供給網)の化学製品や電気機械などが約11兆1000億円と半数近くを占めた。建設業が約2兆1000億円、宿泊などサービス業が約2兆5000億円—などとした。
 九経調は同日、九州・沖縄の25年度の域内総生産(GRP、物価変動を除く実質)が54兆2000億円、成長率が前年度比1.4%増とする経済見通しも発表した。旺盛な設備投資などにより、GRPは3年連続で過去最高額を更新する見込み。