対外貿易伸び率と経済成長率

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第236回)

 『人民日報』2025年1月20日付1面に「対外貿易による中国経済の回復力(従外貿看中国経済韧性)」という記事が掲載されました。これによれば、2024年の中国の対外貿易報告書では、輸出入総額は前年比5%増の43兆8500億元であり、この5%をどう考えるかと書かれています。
 中国はモノの貿易で世界最大の国であり、2024年の中国の経済成長率も5%だったことから「ごく普通」という意見がある一方で、外部環境、経済の波、多くの不安定で不確実な要因、エネルギー源の転換、困難と課題は小さくない中で「厳しい」と嘆く人もおり、どちらの意見にもそれぞれ理由があるとしています。それでも「この5%という数字を通して、我々は中国経済の回復力をよりよく理解し、中国の長期的な経済改善の基本的傾向をよりよく把握することができる」としています。
 日本などでは2024年の中国の経済成長率が5%であったことから、経済鈍化が報じられていますが、中国では対外貿易の伸び率を用いて、5%は「普通でもある」と言いたいようです。しかし、いずれにしても日本よりはまだいい経済数値であるように見えます。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。