経済発展「立派に行う」のは困難?
2025年03月07日
【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第249回)
『人民日報』2025年3月6日付8面に「2024年国家経済社会開発計画および2025年国家経済社会開発計画草案の実施に関する報告(要約)(関于2024年国民経済和社会発展計画執行情况与2025年国民経済和社会発展計画草案的報告(摘要))」という記事が掲載されました。中国では2025年3月に両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議全国委員会会議)が開催されることを知っている読者も多いと思います(中国人民政治協商会議全国委員会会議は3月4日から10日まで、全国人民代表大会は3月5日から11日まで)。
この記事は全国人民代表大会で報告されたものです。しかし、2024年の国家経済社会開発計画と2025年の国家経済社会開発計画草案ではその量が膨大であり、ここで全部評釈することは不可能です。そこで、この記事の一部分を見てみましょう。
記事では「2025年に経済と社会の発展を立派に行う任務は困難であり、責任は大きい」と述べられています。あの中国政府が、全国人民代表大会の中で、経済発展を立派に行うことが困難であると認めました。これは大きな意味を持ちます。ここから中国政府は経済停滞に対して責任回避論を展開していく可能性はあるでしょう。今後を注目したいところです。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。