高まる知的財産保護の意識

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第187回)

 『人民日報』2024年7月18日付5面に「知的財産権保護は、イノベーション保護である(保護知識産権就是保護創新)」という記事が掲載されました。これによれば、今年6月に、国家知的財産局(国家知識産権局)が記者会見を開き、「昨年末で、中国の知的財産人材は86万人となり(2020年末では69万人)、行政機関および法執行の人材は3万人を超え、企業、大学、科学研究機関の知的財産の保護レベルは確実に向上している」と述べたとのことです。
 単に知的財産に関する人材の数が増えただけでは、そこまで知的財産の向上が図られるとは思えませんが、少なくとも中国当局は知的財産保護の強化を意識しているということです。中国は、かつては海賊版天国と言われたこともありましたが、最近は中国の海賊版もかなり縮小しました。それがさらに進むかもしれません。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。