観光収入の目標「過去最高」に設定

観光客で終日混雑する那覇空港のレンタカー送迎バス乗り場

沖縄県文化観光スポーツ部はこのほど、観光振興に関する今年度の目標値を発表した。観光収入は過去最高の8987億円、人泊数は2870万人泊(平均泊数3.31泊)を目標に設定。また、観光客1人当たりの観光消費額は9万4302円、入域観光客数は953万人(国内客734万人、外国客219万人)と推計する。
 県は今年度、国内外からの観光客の誘致活動の強化、戦略的なMIECE振興、スポーツアイランド沖縄の形成など七つを重点施策に設定する。また、新規事業としては、無人化・省人化の取り組みのほか、県外などから観光人材受け入れ促進支援による観光業界の人材不足への対応などを掲げる。さらに、観光業界の魅力発信や職業体験イベントといった観光人材確保支援事業にも取り組む方針を示している。この点について地元の観光関係者は「県が量から質への転換を標榜しているが、実現する具体性に乏しい。掛け声倒れに終わらなければいいが」と厳しい見方を示す。その理由を「コロナ禍の中で県は、観光は重要な基幹産業としながら、状況を打開する具体的な手立てをほとんど打てなかったから」(同関係者)と説明する。他方、別の観光関係者は「受け入れの長期化に対応する施策を自ら講じている民間事業者は多い。こうした努力を県の手柄だと主張しなければよいが」と皮肉めいた表現をする。
 他方、県は同日、2023年度の観光収入(速報値)が過去最高の8563億円(前年度比20%増)だったと発表した。同部は「全国旅行支援による需要喚起で消費単価が高いリゾートホテルの宿泊が増加したほか、物価上昇などが影響した」と分析している。
 観光客1人当たりの観光消費額は、目標に設定していた9万3806円を上回る10万362円だった。入域観光客数が初めて1000万人を超えた18年度と比べて85%程度(853万人)にどどまったものの、人泊数は増加しており、観光客の滞在の長期化が浮き彫りとなった。