石破茂首相の誕生と中国

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第208回)

 日本では新しく、石破茂・内閣総理大臣が誕生しました。これを受けて『人民日報』2024年10月3日付1面に「習近平は、石破茂氏の首相当選に祝電を送った――李強も石破茂に祝電を送った(習近平致電祝賀石破茂当選日本首相――李強向石破茂致賀電)」という記事が掲載されました。
 これによれば、習近平は、中国と日本は一帯の海を隔てた隣国であると指摘し、両国が平和共存、永遠の友好、互恵協力、共同発展の道を歩むことは、両国国民の基本的利益にかない、日中両国が同等に話し合い、日中間の四つの政治文書の原則と合意を順守し、両国間の戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的で互恵的な関係を構築し、新しい時代の安定した日中関係を実現することを期待する、という祝電を石破茂に送付したそうです。ここでは「四つの政治文書の原則と合意を順守し」としか書かれておらず、どの政治文書なのかは不明です。しかし、おそらく、日中共同声明はこれに含まれていると思われます。そして、もしそうだとすると、これらの祝電は石破茂氏の総理大臣就任を祝うものというより、台湾問題について日本は中国の立場を尊重するという点を強調したいだけのように思われます。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。