執行難はこれからどうなる?

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第210回)

 『人民法院報』2024年10月10日付2面に「判決文書は司法責任を果たすための重要な媒体である(裁判文書是履行司法責任的重要裁体)」という記事が掲載されました。これによれば、国家法官学院(国家裁判官学院)の秋季開講式で、最高人民法院長である張軍と中国共産党中央委員会が「判決文書は社会的公平性と正義を伝え、人民の重大な利益に影響を与え、司法責任を果たすための重要な媒体であり、司法の公開性を深める重要な形態で、司法の公開性を深めることが重要である」と述べたとされています。
 中国ではこれまで判決が出されても、それが執行されないという問題が起こることがありました(執行難)。この執行難が政策的に解消されるとしたら大きなことですが、実際はどうなるのか注目がされるところです。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。