危うさ内包する「住居の会」への期待

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第217回)

 『人民日報』2024年11月5日付1面に「人民都市を堅持し、人民が人民都市を建設し、調和のとれた美しい都市を建設し、幸福で美しい生活を創造(堅持人民城市人民建人民城市為人民 共建和諧美麗城市共創幸福美好生活)」という記事が掲載されました。
 これによれば、習近平・国家主席は、上海市内のある住居の会(地域自治会のような会)に対し、個人的な経験を組み合わせて、歴史、党の革新的な理論、新時代の上海市で起きた歓迎すべき変化について大衆に伝えていると指摘し、期待する書簡を出したとのことです。ついに、地域の会が、周辺住民に歴史や中国共産党の革新的な理論を伝えていることを評価しだしました。これは、まるで50年代の建国直後の中国か文化大革命時を想起させるものです。
 このような地域住民の行動がいつか中国全土で強要・奨励される可能性があることは抑えておきたいものです。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。