福岡にEV向け電池材料「新工場」

日本触媒「吹田地区研究所」(大阪府吹田市)

 化学メーカーの日本触媒(大阪市、野田和宏社長)は9月11日、福岡県に電気自動車(EV)向けリチウム電池材料の工場を建設すると発表した。同県で大手自動車の電池工場新設計画が進んでおり、増産体制を整える。新たに用地を取得し、2028年の稼働を目指す。投資額は最大375億円。このうち国から最大125億円の助成金を見込んでいる。
 新工場で生産するのは、電池用電解質の「リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド( LiFSI)」。従来品に比べ、リチウムイオン電池の寿命を1.6倍に延ばす特性があるという。同社は2013年に世界で初めて量産技術を確立し、国内で年間300トンを生産している。工場新設により年産3000トンに増え、全て電解質として使った場合、EV21万台分に相当する。国は蓄電池の生産能力強化を進めており、トヨタ自動車や日産自動車などに加え、同社の事業も助成対象に選ばれた。