運航再開断念し「日韓航路」撤退
2024年12月24日
JR九州
JR九州高速船(福岡市)が博多港と韓国・釜山を結ぶ高速船「クイーンビートル」の浸水を隠して3カ月以上運航を続けた問題で、親会社のJR九州(同市)は12月23日、クイーンビートルの運航再開を断念し、30年以上続いた日韓航路から撤退すると発表した。浸水を招いた船体の亀裂を防ぐ対策が難しく、確実な安全が担保できないと判断した。JR九州高速船は、福岡海上保安部の捜査終了後に清算する。同社の従業員70人は、希望を踏まえJR九州グループ内で雇用する。
JR九州は1991年に日韓航路を開設。2022年11月に就航したクイーンビートルは、オーストラリアのオースタル社が約57億円で建造。大型化と高速運航を両立させるため、船体を軽量化できるアルミ合金製の三胴船が採用された。しかし、アルミ溶接は技術的に難しく、安全対策をしても亀裂が発生するリスクを完全に払拭できなかったという。一方で、福岡—釜山を結ぶ格安航空会社(LCC)の航空便も増え、旅客の獲得競争が激しくなっていた。
JR九州高速船は、今年2月中旬〜5月末に船首部分の浸水を隠して運航。8月に国土交通省の監査で隠蔽(いんぺい)が発覚し、運航停止が続いていた。一連の問題を踏まえ、JR九州は11月、隠蔽を決めたJR九州高速船の当時の社長ら3人を懲戒解雇したと発表した。