「価格転嫁率」過去最高の44%

 帝国データバンク福岡支店は9月20日、価格転嫁に関する九州・沖縄企業の実態調査をまとめた。原材料価格やエネルギー価格が高止まりする中、コスト上昇分に対する販売価格やサービス料金への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は過去最高の44.0%だった。前回調査(2024年2月)から4.5ポイント上昇したものの、依然として5割以上を企業が負担している実態が明らかになった。調査は7月に実施、953社から回答を得た。
 業種別の価格転嫁率は「卸売」(57.7%)が最高で、唯一5割を超えた。「製造」(47.8%)、「小売」(46.5%)、「建設」(42.6%)が4割台で、「農林水産」(35.0%)、「運輸・倉庫」(33.6%)、「不動産」(32.1%)、「サービス」(30.9%)が3割台、「金融」(15.8%)は1割台にとどまった。コスト上昇分を「多少なりとも価格転嫁できている」企業の割合は75.3%だったが、「全く価格転嫁できない」は12.1%だった。物価高を起因とする「物価高倒産」は九州・沖縄で50件(24年上半期)発生。国は価格転嫁の促進を後押ししているが、コスト上昇に加え、最低賃金の引き上げによる人件費の負担増など企業を取り巻く環境は厳しく、価格転嫁をスムーズに進められるかが課題となっている。