上海高級人民法院長の発言

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第255回)

 『人民法院報』2025年3月27日付1面に「上海:学習と教育の品質を確保するために、力加減をチェックし、効果がある改革を行う(上海:確保学習教育学有質量、査有力度、改有成效)」という記事が掲載されました。3月21日に上海高等法院の党理論研究チームが会議を行い、上海高級人民法院長が以下のように述べたとされています。
  われわれは政治的立場を改善し、学習と教育の実施の政治的、戦略的、緊急性を深く理解する必要があり、党と大衆の関係を緊密化し、党の統治基盤を強化することは避けられない要求であり、これは上海での法院業務の質の高い発展を促進するための重要な点である。
 つまり、裁判所は自ら、中国共産党が市民にとって身近にあるような判決をするべきであると述べているのです。かなりの改革が進んだようにみえますが、まだまだ中国の裁判は日本の裁判とは本質がかなり異なるようです。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。