経済動向評価に“人民日報らしさ”

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第240回)

 『人民日報』2025年2月4日付1面には「中国経済、安定と遠望――5つの『マスト』を深く理解し、実践する(中国经济,行稳致远——深刻把握和运用五个“必须统筹”)」という記事が掲載されました。これによれば、中国経済は現在、試練にさらされており、危険と困難がある状態であり、特に2024年の1年間は危機的とも言える状態であり、外圧が強まり、内政が困難に陥ったとしています。もっとも、そんな困難にあっても、習近平・総書記と中国共産党中央委員会が全人民を団結させ、困難に立ち向かい経済社会の発展と目標の達成に成功したといつもの『人民日報』らしい「明るいニュース」となっています。
 しかし、そんな締め方であろうとも、昨年の中国経済を「危機的」とまで評したのは大きなことであると思われます。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)
アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。