外貨からの両替はさらに便利に?

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第185回)

 『人民日報』2024年7月11日付7面に「外国人が中国で消費することはさらに便利に(譲外国朋友在中国消費更便捷)」という記事が掲載されました。これによれば、外貨からの両替はさらに便利に、外国のカードでの支払いはさらにしやすく、スマホ決済の対象商品はさらに多くするとしています。
 外国人による支払いを容易にすることで、中国で外国人にさらなる消費をしてほしいということなのでしょう。しかし、2024年6月に筆者は北京を訪問しましたが、外貨からの両替はさらに不便になっていました。かねてより中国では、外貨から人民元に両替する際、外国人はパスポートの提示が必要なのですが、ついに銀行が入国管理局に問い合わせをし、両替に来た外国人が適法に入国している者かどうかの確認までするようになったからです(少なくとも2018年頃まではこのようなことはしていませんでした)。入管から回答が来るまでは当然待たされることになります。
 現実がこのようになっているのですから、「外貨からの両替はさらに便利に」と言っても、どのくらい便利になるのかは不透明と言えるでしょう。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。