「オンライン大衆路線に従え」の真意

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第182回)

 『人民日報』2024年7月2日付1面に「オンライン大衆路線に従え(走好網絡群衆路線)」という記事が掲載されました。これによれば、「大衆路線は党の生命線であり、基本的な活動路線である。インターネット時代において、サイバー空間は、人々の生産と生活のための新たな空間となり、人々のための、イデオロギー上の合意を構築するための新たなプラットフォームとなっている」とした上で、さらに以下のように述べています。
 「あらゆるレベルの党と政府の機関および指導的幹部は、インターネットを通じて大衆を組織し、大衆を宣伝し、大衆を指導し、大衆に奉仕する能力を向上させなければならない。大衆とは、私たちが大衆を理解し、大衆に近づき、大衆の問題を解決するためのプラットフォームであり、人々の民主主義を促進し、人々の監視を受け入れるための新しいチャネルである」
 1カ月ほど前、天安門事件35周年で日本でも中国のインターネットを通じた情報統制などが報じられましたが、その情報統制を正当化し、さらに強化する内容が示されたことになります。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。