日経「みんな銀撤退」報道に五島FFG社長が否定

五島社長の会見

 日本経済新聞が5月30日に報じた「ふくおかFG社長、みんなの銀行『年度内に撤退判断』の記事に対して、渦中の五島久社長が、緊急釈明会見を行った。「(5月28日に開催した)アナリスト向け会社説明会で、赤字が続くみんな銀行の今後について聞かれたことに対して、経営判断として他の新規事業と同様に黒字化できない場合は撤退や事業転換などもあり得るという意味で答えた」とし、「年度内で撤退を判断するという意味ではない」と報道内容を否定。その上で「27年度の黒字化に向けて、さまざまな施策を講じていく」と話した。
 みんなの銀行は、21年5月に開業したデジタル銀行で、24年3月期の単独最終損益は54億円の赤字(前の期は43億円の赤字)。3期連続の赤字で24年3月末で純資産は20億円まで減ったことから、ふくおかFGを引受先とする90億円の増資を実施したばかり。その矢先の撤退報道。記事では「2027年度の黒字転換が見通せない場合、24年度内にも撤退や事業転換を判断する」と五島社長が発言したことになっている。
 会見で五島社長は「27年度の黒字化を目指し、FFG全体で取り組みを進める」ことを強調、「BaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)の提携先数や拡大やBaaS経由の口座獲得を図っていくほか、振替など利便性向上のためのシステム投資も行う」とした。撤退や事業展開は、それでも黒字化できない場合に取り得る選択肢の一つというわけだ。また「今回の報道は誤報か」の問いに、「そうだ」とは答えず受け止め方の違いということで、釈明の意味合いがあったことは事実だった。
 国内初のネット専用銀行としてみんな銀がスタートした時、同社の経営陣は「我々はファーストペンギンになる」と胸を張ったが、周囲では「メガバンクもやっていないネット専用銀行を地方銀行(あるいはふくおかFG)がやる意義は?」という冷ややかな声が上がっていたのは事実。今後、ふくおかFGはみんな銀の経営を軌道に乗せることでその意義を証明することが課題になる。