「高速船」前社長ら3人懲戒解雇

「クイーンビートル」

 JR九州(福岡市)は11月26日、子会社のJR九州高速船(同市)が博多—韓国・釜山を結ぶ高速船「クイーンビートル」の浸水を隠して3カ月以上運航を続けていた問題を受け、高速船の前社長ら取締役3人を同日付で解任し懲戒解雇とする処分を発表した。JR九州の古宮洋二社長と担当常務は報酬の一部を自主返納する。処分は外部の第三者委員会による調査報告書を踏まえ、JR九州の取締役会で決定した。
 懲戒解雇となったのは、いずれも当時のJR九州高速船の田中渉社長と運航管理者の柴田康祐取締役、安全統括管理者の小川仁取締役の3人。ほかにも責任が認められる社員を社内規定に基づき処分したとしているが、人数や内容は非公表とした。ガバナンス(企業統治)の機能不全が明らかになったJR九州では、古宮洋二社長が役員報酬の30%、グループ会社を統括する松下琢磨・取締役常務執行役員が10%をそれぞれ2カ月間、自主返納する。
 浸水隠蔽問題を巡っては、国土交通省の処分は9月に出され、福岡海上保安部による捜査が続いている。クイーンビートルは運航再開の目処が立っていない。古宮社長は、8月13日以降の運休などJR九州高速船に生じた損害について、解雇した3人に損害賠償請求を検討する考えも示した。