年内にも「ホーバークラフト」就航へ
2024年11月20日
大分県は、大分市中心部から大分空港(大分県国東市)へのアクセス改善を目指し、ホーバークラフトによる海上交通の運航準備を進めてきたが、11月15日に国土交通省九州運輸局が運航会社「大分第一ホーバードライブ」(大分市)による定期空港航路と別府湾周遊航路の事業を許可した。運航会社は安全確認検査を受け、問題がなければ11月中にも周遊航路を先行して運航し、空港アクセスは年内の開始を予定している。当初、2023年度内の就航を予定していたが、操船訓練中の事故により24年秋に延期されていた。
新たな交通手段としてホーバークラフトの導入により、大分市街地から空港への移動時間が現在バスやタクシーで約60分かかるが、約30分に短縮され、空港利用者の利便性が一段と向上することが期待されている。ホーバークラフトは80人乗りで、常用船2隻と予備船1隻の3隻体制で、大分市の西大分地区と空港を1日7往復半、15便運航を予定。料金はオンラインで事前決済すれば大人片道2000円で、年間35〜40万人の利用が見込まれている。
大分空港は1971年に大分市街地から約50キロ離れた国東半島に移転し、開港当初から空港へのアクセスが課題となっていた。県は2018年度から海上アクセス導入について調査を進め、陸路の約半分の時間で移動できるホーバークラフトの導入を決定した。実は、ホーバークラフトの運航は今回が初めてではない。1970年代に「大分ホーバーフェリー」が設立され、大分空港と市内を結ぶホーバークラフトが運航していたが、部品調達の困難や利用者減少などから2009年に運航が終了した。その後、県が船舶購入や発着地の整備費を負担し、運航事業者が運営費を負担する「上下分離方式」が採用された。20年に第一交通産業(北九州市)が運航事業者として選定され、事業期間は20年間となった。大分空港の23年度の利用者数は約184万人に達し、コロナ禍前の約92%まで回復しており、新たな交通アクセスに対する期待が高まっている。