北九州市と立地協定を締結

協定書を掲げる正興電機製作所の添田英俊社長(一番右)、武内和久北九州市長(中央)、正興電機製作所の土屋直知会長

 電力向け受変電設備や開閉装置の製造・開発などを手掛ける正興電機製作所(福岡市)は10日、北九州市と立地協定を締結した。同市若松区にある北九州学術研究都市にAI(人工知能)やロボット、蓄電システムなどの研究開発拠点「ひびきの研究開発センター(仮称)」を建設することを受けたもの。同社の添田英俊社長は会見で「学術研究都市という好立地を生かした産学連携により、最先端の製品開発やものづくりの事業展開に取り組みたい」などと語った。
 同センターは、正興電機製作所グループが事業成長の柱に設定する、DX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)を加速させるほか、オープンイノベーションの促進により新たな事業や製品を創出し、事業拡大に繋げることを目的とする。同市との立地協定により同グループは、産学連携によるスマート保安システムの高度化のほか、停電時など周辺施設に電力を供給できる地域EMS(エネルギーマネジメントシステム)の推進などにも取り組む。会見で武内和久市長は「学術研究都市における研究開発の拠点化や新たな産業の創出を促進し、市が目指す稼げるまちの実現にもつながる。また、市の課題の一つである理系人材の雇用の受け皿にもなる」と期待を寄せた。
 同センターは今月、建設に着工し、2026年4月の竣工を目指す。総投資額は約41億円を見込む。建物は、研究開発棟の「Tサイト(仮称)」と先端モノづくり棟の「Mサイト(仮称)」で構成。次世代蓄電池として注目が集まるレドックスフロー電池を活用した電力需給制御システム、AIやロボティックス技術を活用した設備遠隔監視などのスマート保安システムなどを備える。また、太陽光発電や蓄電システムをはじめとする創エネ・蓄エネ設備や省エネ設備を採用した地産地消のゼロエネルギービルディング(ZEB)となる。従業員は、本社の研究開発部隊が約50人、モノづくり部隊が約40人の計90人体制での始動を想定。センター開設後は段階的に50人程度の現地採用・学生採用を行い、開設5年後には200人体制にする予定という。