住商グループと九電案の差は約90点

住友商事を代表とするグループの開発イメージ図

 九州大と都市再生機構(UR)はこのほど、福岡市東区にある九大箱崎キャンパス跡地の再開発事業について、4月に優先交渉権者を選定した審査結果を公表した。審査はまちづくりなどの企画内容(計750点)と、土地譲渡などの入札価格(計250点)の1000点満点で評価。優先交渉権を獲得したのは住友商事を中心とするグループが900・3点だったのに対して、九州電力を中心とするグループは813・6点、ディスカウントストアのトライアルグループは641・8点だった。
 住商グループと九電グループの評価の違いは、前者が提案した企画内容の方が高く評価された結果だった。入札価格(土地譲渡)は住商グループが約371億円に対して、九電グループが約386億円と上回ったが、企画評価点は住商グループが約659・3点、九電グループは563・6点で約100点の大差がついた。住商グループが提案した企画案が、IT産業の研究拠点やデマンド交通などの先端技術を取り入れたものだったのに対して、九電グループは2万人収容のアリーナを目玉施設にしたプランを提案した。ここが評価の分岐点になったもようだ。
 同キャンパス跡の再開発は、全体面積が約50ヘクタールと広大であることから、当初は九電やJR九州、西鉄、西部ガスなど地場有力企業が連合を組んで入札に向けて準備を進めていた。だが、九電のアリーナ案に対して、JR九州や西鉄などの採算面から難色を示し、最終的には袂を分かつ結果となった。JR九州、西鉄などは住商グループに入り、九電は東京建物などとタッグを組んで入札に臨んだが、判定は九電グループが一敗地にまみれることに。九電グループに参画していたある地元企業幹部は落選の報に接し「大きな驚きを持って受け止めた」ともらす。地元連合が分かれるきっかけになったアリーナ案が、審査結果に大きく影響したのは皮肉な話だが、これまで地元の大型再開発などで主役を演じてきた九電が敗北したことに大きな波紋が広がった。