「特色ある」現代金融システム構築

【寄稿】高橋孝治の中国「深層(真相)」拾い読み(第177回)

 『人民日報』2024年6月12日付1面に「いかに迅速に中国の特色ある現代金融システムを構築するか(如何加快建設中国特色現代金融体系)」という記事が掲載されました。これによれば習近平・総書記は「中国の特色ある現代金融システムの構築を急ぎ必ずやらなければならない」と述べたということです。
 この記事を読む限り、何が中国の特色ある現代金融システムなのかはよく分かりませんが、国家が小売りレベルの商品の価格すら決めることができるほどの管理的な社会主義国家である中国で、いまだ独自の金融システムが完成していないことには驚かされます。やはり社会主義市場経済制度を導入してから、中国の経済や金融システムは日本などの資本主義市場と大きく変わらないようです。
 しかし、「特色ある現代金融システムの構築」という表現を持ち出していることからも、やはり中国経済は実態の面からも不調なのでしょう。

●高橋孝治(たかはし・こうじ)アジアビジネス連携協議会・実践アジア社長塾講師/大明法律事務所顧問。中国・北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)。専門は中国法、台湾法。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)、国会議員政策担当秘書有資格者。現在は、立教大学アジア地域研究所特任研究員、韓国・檀国大学校日本研究所海外研究諮問委員も務める。